「切らないたるみ治療はあるの?」というご質問を多くいただきます。結論から言うと、メスを使わずにたるみを改善できる治療は複数あります。代表的なものは、糸リフト・ソフウェーブ(Sofwave)・HIFU(ハイフ)・脂肪吸引(フェイスライン限定) などです。糸リフトは皮膚を切らずに、下がった脂肪や皮膚を医療用の糸で上方向へ固定し、同時にコラーゲン新生を促すことで、リフトアップとハリ感の改善を両立する治療です。
ソフウェーブやHIFUは、超音波エネルギーを皮膚の深部に照射して引き締める「切らないリフトアップ」として人気で、痛みやダウンタイムも少なく自然な変化を目指せます。さらに、フェイスラインの脂肪が原因でたるみが目立つ場合は、小顔脂肪吸引で余分な脂肪を除去することで輪郭をスッキリ整えることも可能です。
いずれも「切らないたるみ治療」ですが、目的(皮膚のゆるみ/脂肪の重み/リフト力)に合わせた選択が大切です。
クリニックの情報
糸リフトとは?— 仕組み・素材・持続目安
糸リフトは、コグ(棘)やコーン付きの吸収糸(PDO/PLLA/PCL など)を皮下に通し、たるみの主因である下垂脂肪の重力方向を反転させて固定する治療です。糸による微小な刺激でコラーゲンやエラスチンが増生し、ハリや質感の向上も期待できます。素材別の吸収目安は文献により幅がありますが、レビューではPDO 約6–8か月、PLLA 約12–24か月、PCL 約1–1.5年とされ、製品・設計により差が出ます。
エビデンスの要点
- 26研究をまとめたメタ解析では、術直後の満足は高いが長期満足は低下する傾向が示され、腫脹(35%)・ディンプル(10%)・しびれ(6%)・糸の可視/触知(4%)・感染(2%)・糸露出(2%)が主要合併症でした。吸収糸は非吸収糸よりしびれ/糸露出リスクが低いと報告。
糸リフトに期待できる効果(3本柱)
- リフトアップ効果:下垂脂肪を上方へ再配置してフェイスライン(ほうれい線・マリオネット・下顔面)を改善。
- 肌のハリ・ツヤ:糸刺激でコラーゲン・エラスチンが新生し、弾力と光沢を底上げ。
- 小顔印象:輪郭の“もたつき”を引き上げることで見た目の小顔化が期待できます。
ダウンタイムの目安:軽度の腫れやディンプルは数日〜2週間程度で落ち着くのが一般的です
Kスレッド(THE FIRST CLINICのオリジナル)
KスレッドはTHE FIRST CLINICのオリジナル糸リフト。公式情報では、ダウンタイムは少なく、術後2〜3日程度のつっぱり感やむくみが出ても通常3日〜1週間で落ち着き、効果はおよそ半年〜1年が目安とされています。メイクは当日から、入浴は翌日から可能という運用で、感染予防の内服が付く点も明示。
小顔脂肪吸引(頬・顎下)— 過多なボリュームが主因なら“減らす”
仕組み:カニューレで余剰脂肪を直接除去し、ボリューム過多による二重あご・輪郭だぶつきを是正。脂肪細胞そのものを減らすため長期的です。
安全性と合併症:
- 大規模メタ解析では脂肪吸引全体の合併症は2.62%、最も多いのは輪郭不整(2.35%)。ただし部位や手技により差があります。
- 外来ベースの大規模データでは0.40–0.63%と低率報告も。いずれも顔面限定ではない点に留意。
- 顎下(サブメンタル)は合併症はまれだが、起きたときは瘢痕拘縮・壊死・一過性顔面神経麻痺などの重篤例が報告され、解剖に熟達した術者選びが重要です。
THE FIRSTの小顔脂肪吸引:同院はKスレッドとのコンビネーションを“固定バンド不要”で謳っており、直後からスッキリ感を打ち出しています。
SOFWAVE(ソフウェーブ)— 中層真皮1.5mmを面で温める“SUPERB™”
技術の骨子:Synchronous Ultrasound Parallel Beam(SUPERB™)が真皮中層(約1.5mm)に平行ビームを一様に入れ、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の再構築を促進。表皮はSofcool™の能動冷却+温度モニタで保護される設計です。
適応・承認:眉・顎下・首の組織のリフト、および顔の細かいシワの改善でFDAクリアランス(22歳以上)。
臨床:中等度の皮膚ゆるみに対し1回治療で数週〜3か月かけて引き締まりが進行。1.5mm中心の面加熱は“深部脂肪やSMASに届きにくく、表層タイトニングを狙う”のが設計思想です。
HIFU(ハイフ)— 可視化しながら1.5/3.0/4.5mmへ点状加熱
1.5/3.0/4.5mmに熱凝固点(TCP)を点状に形成。SMAS層まで到達可能なのが特長です。
適応・承認:眉・顎下・首のリフトとデコルテのシワ改善でFDAクリアランス。一般的な副作用は一時的な赤み・腫れ・疼痛など。
安全性の知見:MFU‑Vは概ね安全で副作用は軽度で一過性が中心というレビューが複数ありますが、神経障害の症例報告もあり、解剖・設定・プロトコル遵守が重要です。
4治療の「適応」と「違い」を一望(早見表)
施術 | 作用層 / 仕組み | こんな人に | 持続目安 | ダウンタイム | 主なリスク・ポイント |
---|---|---|---|---|---|
糸リフト | 皮下で糸が下垂脂肪を上方固定+コラーゲン新生 | たるみによる輪郭のもたつきを手早く引き上げたい | 糸の種類によりPDO 6–8か月/PLLA 12–24か月/PCL 1–1.5年 | 腫脹・突っ張り感は数日〜2週間 | 腫脹35%/ディンプル10%/しびれ6%/感染2%/露出2%(メタ解析)。適切な層・ベクトル設計が鍵。 |
Kスレッド | THE FIRSTのオリジナル糸。痛み・腫れ配慮 | ダウンタイム最小で自然な引き上げ重視 | 半年〜1年 | つっぱり2〜3日/むくみ3日〜1週 | 当日メイク可・翌日入浴可と案内 |
小顔脂肪吸引 | 余剰脂肪を直接除去 | 二重あごやボリューム過多が主因 | 長期的(脂肪細胞減少) | 腫れ・内出血・拘縮が数週〜数か月で推移 | 輪郭不整、血腫/漿液腫、感染、まれに神経障害。全体の合併症は2.62%(部位差あり)。 |
SOFWAVE | 1.5mm中層真皮を平行ビームで均一加熱、Sofcool™で表皮保護 | 皮膚ゆるみ主体/短いダウンタイム重視 | 数週〜3か月で実感、1–2回/年目安 | 赤み・軽い腫れなど一過性 | 眉・顎下・首のリフトでFDAクリアランス。均一面加熱が特長。 |
HIFU | 1.5/3.0/4.5mmに点状TCP、SMASまで | 輪郭支持組織(SMAS)から引き締めたい | 数か月〜1年 | 赤み・しびれなど一過性 | 画像可視化で安全性向上の報告。神経障害の稀な症例あり。 |
「どれを選ぶ?」最短ルートの考え方
- 原因=脂肪量>皮膚ゆるみ → 小顔脂肪吸引でボリュームを減らす(必要に応じSOFWAVEで皮膚タイトニング)。
- 原因=皮膚ゆるみ主体 → SOFWAVE(1.5mmの面加熱)やHIFU(層別TCP)で密度を上げる。
- 下垂が強く“引き上げ”が必要 → 糸リフト/Kスレッドでベクトル固定、必要に応じHIFUを併用して支える。
注意:HIFU系は設定や当てる層を誤ると熱傷や神経刺激の原因になり得ます。解剖に精通した術者を選ぶことが安全の近道。
糸リフトの注意点(失敗回避のチェックリスト)
- 合併症の把握:腫脹・ディンプル・しびれ・糸露出・感染など。腫脹35%が最多というメタ解析データを事前共有。
- 馴染むまでの違和感:突っ張りやディンプルは**〜2週間**で自然軽快が多い。過度な違和感は早めに受診。
- 禁忌・注意:活動性の皮膚感染、出血傾向、妊娠/授乳、自己免疫疾患、ケロイド体質などは回避・慎重適応。
SOFWAVEとHIFUの“打ち分け”
- SOFWAVE:1.5mm中心の“面”加熱。Sofcool™の冷却+温度モニタが一体化し、表皮保護と快適性に配慮。眉・顎下・首リフトまでFDAクリア。短期ダウンタイムが強み。
- HIFU:1.5/3.0/4.5mmを画像で可視化しながらTCPを点状に形成。SMASまで狙えるのが差別化ポイント。稀な神経障害の報告に留意。
併用戦略の王道パターン
- 二重あご+皮膚ゆるみ:顎下脂肪吸引→数か月後にSOFWAVEで皮膚密度UP→必要に応じKスレッドで輪郭を仕上げ。
- たるみ主因+支持不足:糸リフト/Kスレッドで物理的引き上げ→HIFUでSMASから支持性を高め、中長期のキープ力を補強。
- 軽度の小じわ・毛穴・肌質:SOFWAVE単独でもダウンタイム短く改善を狙える。
HIFU/SOFWAVEの禁忌・注意(重要)
よくある質問(FAQ)
Q1:糸は溶けたら効果もゼロに?
A:糸自体は吸収されますが、コラーゲン増生が残るため見た目の改善は一定期間続くことがあります。持続は素材・本数・設計で変動。
Q2:ディンプルや突っ張りはいつ治る?
A:多くは数日〜2週間で自然軽快。
Q3:HIFUは痛い?神経麻痺が怖い…
A:痛みは個人差があります。画像可視化と解剖理解があれば安全性は高いとされますが、稀に神経障害の症例があるため、経験豊富な医師で受けるのが鉄則。
Q4:SOFWAVEは何回必要?
A:1回で数週〜3か月かけて実感しやすい設計。必要に応じ1–2回/年。適応や希望で調整。
THE FIRST CLINICで受けるメリット(Kスレッド/小顔脂肪吸引)
- Kスレッド:ダウンタイム最小化に配慮し、院内運用として当日メイク可・翌日入浴可。半年〜1年の効果目安を公表。
- 小顔脂肪吸引×Kスレッド:固定バンド不要を打ち出す“パーフェクトプラン”。即日で輪郭の変化を感じやすいと案内。
まとめ:原因に合わせて「引き上げ」「減らす」「締める」を組み合わせる
- 糸リフト/Kスレッド:切らずに即時の引き上げ+コラーゲン新生。合併症は腫脹・ディンプルなどがあり、設計と術者経験が成否を分ける。
- 小顔脂肪吸引:ボリューム主因に強く、長期的。ただし輪郭不整などのリスク理解と術者選びが重要。
- SOFWAVE:1.5mmの面加熱+Sofcool™で短期ダウンタイム。眉・顎下・首のリフトまでFDAクリア。
- HIFU:画像可視化×層別加熱(〜SMAS)で深部から支える。
結局のカギは「適応の見極め」です。脂肪が主因なら“減らす”、皮膚ゆるみなら“締める”、位置の下垂が強ければ“引き上げる”。必要に応じてこれらを順番と強度を最適化して併用することで、最短で“理想の輪郭”に近づけます。迷ったら、Kスレッドを含む複数手段を扱い、HIFU/SOFWAVEや脂肪吸引まで横断提案できるクリニックで相談しましょう。